お役立ちコラム
今回は相談事例を通じて、口約束で貸した駐車場に建てた小屋の撤去について、ご紹介します。
先日亡くなった母から相続した不動産(空き地)についての相談です。
この空き地は母が生前に駐車場として第三者に無償で貸し出していたものなのですが、最近になって見に行ったところ、プレハブ小屋が建っていました。そこで、私から借主に抗議したのですが、借主曰く、元々口約束で母から「この空き地は自由に使ってよい」といわれていたとのことです。
もっとも、私自身は母からそのようなことは聞いていませんし、母がいなくなったことをいいことに好き放題しているだけではないかと思っています。借主にプレハブ小屋を撤去させる方法はないでしょうか。
なお、母は空き地を貸し出すにあたっては、特に契約書は作っていなかったようですし、また、いつまで貸すといった話も聞いていません。
お母様と借主との間で契約書は作成されていないとのことですが、契約は口頭の合意でも成立することから、本件では上記空き地(以下、「本件不動産」といいます。)を対象に駐車場としての利用を目的とした使用貸借契約(民法第593条)が成立していると考えられます。
そして、使用貸借契約の目的物につき、契約により定まった方法に従い使用しなければならないところ(同法第594条3項)、仮に相談者様の述べるとおり、本件不動産を駐車場として借主に貸し出していた場合、借主が本件不動産上にプレハブ小屋を建てることは、用法順守義務違反にあたります。
この場合、相続により貸主の地位を相続した相談者様において、用法順守義務違反を理由に、本契約を解除の上、プレハブ小屋の収去及び本件不動産の明渡しを求めることが考えられます。
他方で、借主の述べるとおり、使用期間の定めがなく、借主において相談者様のお母様から本件不動産を「自由に使ってよい」といわれていた場合にも、本契約は目的を定めない使用貸借契約となるため、貸主において自由に解約することができます(同法第598条2項)。
そのため、相談者様はいつでも本契約を解除の上、プレハブ小屋の収去及び本件土地明渡しを求めることが可能だと考えられます。
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