お役立ちコラム
今回は、年次有給休暇の計画的付与に関するご相談です。
院長が学会に参加するため、6月の第2土曜日を急遽休診にする予定です。全職員を対象として年次有給休暇(以下、年休)を取ってもらおうと思います。事前にどのような準備をしておけばよいでしょうか。
医院全体の休診によって、医院があらかじめ日にちを指定して職員に年休を取得させる場合(年休の計画的付与)、就業規則への規定と、労使協定の締結が必要です。
また事前に、年休の付与日数が少ないパート職員や、入職して間もないため年休が付与されていない職員の対応についても考えておきましょう。
年休の計画的付与は、年休の付与日数のうち5日を超える部分について、医院があらかじめ日にちを指定して年休を取得させることができる制度です。事前に就業規則に規定した上で、労使協定の締結が必要です。
年休の付与日数のうち5日については職員の自由な意思で年休を取得できるようにしておく必要があるため、例えば、年休が10日の職員に対しては5日、年休が16日の職員に対しては11日まで計画的付与の対象とすることができます。
なお、前年度付与された年休を取得せずに繰越した場合、この繰越した年休を含めて5日を超える日数を計画的付与の対象とすることができます。
労使協定では、次の事項について定める必要があります。
- @計画的付与の対象者(または対象から除く者)
- A対象となる年休の付与日数
- B計画的付与の具体的な方法
- C年休日数が少ない職員の扱い
- D年休付与日を変更することが予想される場合はその手続き
今回のように、医院全体の休診の場合、Bで具体的な年休の付与日を定めます。
また、年休の付与日数が5日以下の職員や入職して間もないため年休が付与されていない職員は、計画的付与の対象とすることができません。そのため、これらの職員も含めて一斉で休ませる場合には、特別有給休暇を付与するといった対応が必要です。
そうした対応をせず職員を休業させる場合は、休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければなりません。
そもそも年休の計画的付与をする場合には、就業規則の定めが不可欠です。
計画的付与の導入を検討している場合は、まずは就業規則に定めがあるかを確認し、定めていないのであれば、就業規則の変更や職員への周知から取り組みましょう。
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