お役立ちコラム
今回は、公共交通機関の遅延により職員が遅刻した場合の対応に関するご相談です。
先日、踏切事故のトラブルで電車が大幅に遅延し、職員が始業時刻に遅れて出勤したことがありました。職員に責任はないので、通常の始業時刻に出勤したものとして、賃金を控除せずに支給しました。
今後も、職員に責任のない遅刻はこのような対応をしたいと考えていますが、注意しておくべきことはありますか?
予期できない公共交通機関の遅延や運休による遅刻の場合、遅刻であっても賃金を控除せず支払うことに問題はありません。
職員の個人的な都合による遅刻と区別するため、職員が遅延証明書を提出した場合に限り、通常の勤務として取り扱うなどのルールを定めておくことが必要です。
遅刻などにより働かなかった時間に対する賃金を支払わないという「ノーワーク・ノーペイの原則」は、雇用契約の考え方の基本となっています。
そのため、就業規則で遅刻した時間に対して賃金を支払わない(月給から控除する)と規定している医院は多いでしょう。
そのような賃金を支払わないルールは、一般的に職員の個人的な都合や寝坊などで遅刻する場合を想定していますが、遅刻には、予期できない公共交通機関の遅延や運休に伴うケースもあります。
よって、職員に責任のない遅刻の際の賃金の取扱いを、事前に検討しておく必要があります。
職員に責任のない遅刻があった場合の取扱いについては、例えば公共交通機関が発行する遅延証明書の提出を条件として、遅刻した時間について通常の勤務とし、賃金を支払うという取扱いを規定することが考えられます。
ただし、本来は始業時刻から勤務することが当然のことであるため、遅延証明書の提出があった場合でも、「月〇回以上の遅刻が重なる場合は、○回目以降は就労しなかった時間について賃金を支払わない」とするなど、遅刻のない職員との公平性も考えておくとよいでしょう。
今回の質問のようなケース以外にも、比較的遅延が多いバスに乗車したことによる遅刻、自家用車で通勤している職員が交通渋滞に巻き込まれたときの遅刻、その他、時給制のパート職員が同様の理由で遅刻した場合の取扱いなど、様々なケースが想定されます。
発生しうるケースを洗い出し、モラルハザードが起きないように注意をした上で、その取扱いを決定することが重要です。
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